自筆証書遺言(1)

 自筆証書遺言は、文字通り、内容である文面はもとより、日付、氏名など、とにかくすべてを自筆で書くことが必要です。
 遺言書に記載する財産(たとえば不動産など)の数が非常に多くて、遺言書の枚数がかなり多くなったりする場合でも、すべてを自筆で書かなければなりません。

 代筆、パソコンで作ったものを記録した記憶媒体やプリントアウトしたもの、ビデオやテープに録画・録音したものなどは、すべて、法律上の遺言書としての効力はありません。

 もっとも、声や映像などは、ご本人の思いをご家族や愛する人に伝えるものとしては、とてもいいものだと思います。
 ただ、遺言書として法律上の効力があるかということになると、残念ながら法的な効力はありません。

 このように、自筆証書遺言は、自分の手で筆記用具を持って書く、すべてを自筆で書くことが必要であるということを、まず、ご理解ください。

 ただ、このことを裏返して考えると、筆記用具と紙と印鑑などがあれば、自分一人で、いつでも、どこでも、自由に作成することができるということです。

 遺言書の存在や内容を、誰にも内容を知られることなく秘密にしておけることや、証人なども必要ないので費用がほとんどかからず、手軽に作成できるというのが、自筆証書遺言のメリットでしょう。

 その一方で、自筆証書遺言には形式的な決まり事(ルール)が多く、自分自身でしっかりと、そのあたりのことを調べてから書かないと、せっかく書いたものが無効だったといったケースも、現実に少なくありません。

 また、保管方法・場所には十分な工夫と注意が必要です。
 簡単に見つけられるようだと、偽造や改ざんされるかもしれないといった心配もあります。また逆に、まったくわからないような場所だと、自分が亡くなった後にも発見されないといったことも考えられるからです。

 そのほか、遺言書の種類を決めるときには、いざ相続となったときの相続人の手続きのことなども、考えておいてあげたほうがいいことのひとつかもしれません。

※引き続き、次回も、自筆証書遺言についてみていきたいと思います。




































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